時効の援用にかかる期間

最終更新日:2025年01月07日

1 基本的には消滅時効の援用は短期間でできる

 貸金業者等からの借金に関する消滅時効の援用は、一般的にはあまり時間をかけずに行えます。

 消滅時効の援用の作業自体は、内容証明郵便に消滅時効の援用をする旨を記載し、債権者である貸金業者等へ送付して終了するので、数日程度で行うことができます。

 貸金業者等からの通知書面や、裁判所からの支払督促がお手元にあり、債務(貸金業者等からみた債権)の詳細情報(貸金業者名、契約日、残債務額、期限の利益喪失日、債務名義の有無、管理番号など)が明確になっていて消滅時効が完成していることが明らかな場合には、すぐに消滅時効の援用をすることができます。

 債務の詳細が明らかでない場合には、貸金業者等に対して受任通知を送付して取引履歴を取得することを検討することもあります。

 取引履歴の取得には2週間~1か月程度かかることがありますので、その後に消滅時効の援用をすることになります。

 そのほかにも、時間を要するケースがいくつかありますので、それぞれについて以下説明します。

 

2 弁護士費用の積立てが必要な場合

 一般的には、消滅時効の援用にかかる弁護士費用は、1つの債務あたり数万円程度となります。

 消滅時効の援用をする債務が複数ある場合には、弁護士費用も高額になることがあります。

 そのため、一括での弁護士費用のお支払いが困難である場合には、毎月分割して積立てをしていただくこともあります。

 積立てが終了したら消滅時効の援用を行いますので、消滅時効の援用をするまでに数か月間を要することもあります。

 

3 最後の取引をした時期の記憶が曖昧な場合

 貸金業者等から借り入れた金銭の債務の消滅時効は、原則としては最後の取引の日(正確には期限の利益を喪失した日)から5年で完成します。

 最後の取引をした時期がある程度明確であり、ご相談をいただいた日が最後の取引をした時期から5年以上経過している場合には問題ありません。

 一方、最後の取引をした時期が曖昧で、最後の取引をした日から5年を経過していると確実には言えない場合には注意が必要です。

 もし最後の取引をした日から5年が経過していないにもかかわらず、貸金業者等に連絡をしてしまうと、消滅時効の完成が近いことに気付いた貸金業者等が訴訟を提起するなどして消滅時効の完成を阻止することがあるためです。

 そのため、最後の取引をした時期が曖昧である場合には、確実に最後の取引をした日から5年以上が経過したといえるまで一旦様子を見て、それから消滅時効の援用に着手をすることがあります。

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